シュラブがガーデンセンターを変える
2016年2月6日

花や葉の美しい低木をシュラブといいます。
例えば昔から日本にある雪柳やレンギョウ、アジサイやウツギ類もシュラブの仲間です。
シュラブはそのほとんどが春に花を咲かせ、夏から秋まで葉を、冬には枝の鑑賞を楽しめます。
葉・幹・花・実などの本質的な美しさがとても魅力的です。
庭におけるシュラブ類の役割と長所は常緑樹と落葉樹の組み合わせにより骨格を築き、宿根草や一年草、球根類などをより引き立たせることで、そのコントラストも素晴らしいものです。
次に季節感。
草本類の季節感が希薄になってゆく中、シュラブは四季折々の表情と成長過程を楽しめます。
シュラブは背丈、樹姿などバリエーションが豊富です。その形態と習性を利用すれば庭に和みと安心感を生み出せます。また家や建造物との親和性も高く、より自然な景観を実現するのに適しています。
そしてもうひとつ、庭のローコスト化も挙げられます。
先に述べたとおり、シュラブは何年でも継続的に楽しめる植物です。
シュラブと宿根草によってつくられた庭は後のコストを軽減できるというわけです。
欧米ではガーデンセンターのメインの場所にその季節のシュラブが置いてあります。単体の植物を見せるだけではなく、消費者に庭そのものを想像させる陳列やサンプルガーデンが設置されています。
国内の園芸店ではシュラブ類がメインとはいかないかもしれませんが、売り場で一年草、宿根草も含めて「こういう庭はいかがですか?」というビジブルな提案ができれば消費者ニーズに絡みやすいはずです。
シュラブの展開によって、一年中、四季に沿った庭の魅力をアピールすれば消費者の購買意欲はもちろん、その趣向についても意図する方向に導いていけるのではないでしょうか。
シュラブという名称またはカテゴリーを一般的にすることも大切です。
呼び方や表示方法で消費が伸びたという例はたくさんあります。
車で言えば「小型乗用車」から「コンパクトカー」という造語を用いることによって販売台数を伸ばしてきた経緯があります。 「ミニバン」や「スポーツセダン」もそれに類似しています。
アパレル業界では「クールビズ」が曖昧だった夏の紳士服売り場を激変させ、コンピュータ業界でも「タブレット」や「スマートフォン」という新分野の登場により市場を活性化させています。
園芸業界はどうでしょう。
過去には「ヒバ」という品種を「コニファー」と呼ぶことによって大きく流れが変わった経緯があります。
こうしたわかりやすいカテゴリーの創設とそれに対応する売り場での展開が売り上げを加速させ、隠れたニーズをキャッチするのに効果的なのだと思います。
残念ながらシュラブという名称はまだ一般的ではありません。
これまでと同様、花木や和物といえば通じるのでしょうが、将来性のある呼び名とは言いがたいものです。
特に若い世代を意識した場合、戦略的なネーミングは避けて通れない課題です。
先の例に漏れず、売り場の創意工夫によりシュラブの名称と魅力が一般に伝われば、幅広い層の消費者から新需要を引き出すことができるのではないでしょうか。

シュラブがガーデンセンターを変える